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旧国鉄久大線を走る蒸気機関車(SL)の点検、格納庫として1934年に完成。鉄筋コンクリート造りで、SLの向きを変える円形の転車台を中心に扇を広げた形をしており、当時最高の技術を用いて建築された。


車庫は久大線が全線開通とともに業務を始め、広さは1734平方メートル。最盛期の23年には蒸気機関車25両の修理が行われ、250人の職員がいた。機 関車は60―70キロごとに石炭や水の補給基地が必要で、久大線では豊後森が補給基地の機関区に選ばれた。戦時中は軍事輸送の拠点となったため、米軍の攻 撃目標にされ、壁面には機銃掃射の弾痕が残っている。


原形のまま残る機関庫としては九州唯一、全国的にも14年に造られた京都の梅小路機関庫とここのみで、その規模から鉄道遺産としてあらためて注目されている。老朽化のため車庫の内部は立ち入り禁止。