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角埋の森と活用

文化財調査員
報告文・佐藤三千代

江戸間、森藩は角埋の森ヘー般民衆が人山することを禁じていました。藩主が山で落とした銀のキセルを薪拾いの農民が所持していたことが知られ罰せられたことがありました。

飢饉の年、期日を限って樫の実を拾うことを許可したり、火災にあった農民の普請材伐採を許可するなど、他藩の厳しい規制からみるとややゆるく温かみがあったような気がします。このように大切に守られてきた森も、明治時代以降は有用率伐採、薪炭林としてカシ類などの多量伐採、マツクイムシ被害、台風被害、スギなどの一斉造林などで大きく様変わりしています。

現在は巨木の林立する末広神社周辺の森、山上の駐車場から崖下に続く照葉樹林、頂上付近の風倒木跡地の若い自然林、下方の植林地の四つに大別されます。末広神社の裏山は、杉の古木が多く、イチイガシの巨木(胸高周囲3m他)、タプ、ケヤ半などの他、ツガ(3.7m)、カヤなどの針葉樹などで構成される郡内有数の森です。

この森のイチイガシは通直で樹高も高く堂々としています。この樹の実はドングリの中もおいしいといわれてす。飢饉の時特別に入山されたのはこの森なのでしょうか。山上の駐車場付近から焼不動のある崖下一帯は自然度の高い森で、『鳥獣特別保護区』に指定されており動桓物の宝庫です。タプ、ウラジロガシ(最大2.75m)、アラカシ、アオキなどの照葉樹林で特にカゴノキが目をひきます。ケヤギ(最大5m)、ムクノキ、クマノミズキ、イロハカエデなどの落葉樹も混生しています。

頂上の本丸跡(伝)周辺は風倒木を整理した跡の自然林で、多くの樹種の幼木が競い合いながら照葉樹の森へ変化している姿を見ることができます。森林を景観として見たり、水源涵養などの一般的公益的機能を持つものとするのは当然ですが別の機能も活用したいものです。森林はわたしたちに安らぎや潤いを与えてくれる大切な場所です。

森の中で深呼吸をしてみてください。空気の「おいしさ]や「香り」に気づくはずです。森が空気の汚れを吸い取って、きれいな空気を送り出しているからです。「香り]は木が排出する『フィトンチッド」というもので、人の心を落ちつかせ、なごませてくれる効果が知られています。フィトンチッドを「森林浴」と訳していますが、もう一つ「森林セラビー]という言葉を耳にするようになってきました。森林浴から更に森林を健康づくりの場として積極的に活用しようというものです。

いやし効果などを活かして、心、身体の健康維持、増進などにもっと活用しましょう。角埋にはタイプの違った森林があります。コースもいくつか考えられそうです。自分に合ったコースを選びリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。