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豊後森機関庫現地調査の結果報告

豊後森機関庫は建設されてから75年が経過し、しかも40年以上も放置されてきた。老朽化が進み、だれの目からも「今にも壊れそうな建物」と見られていた。私たちも本体を活用することは無理であり危険だと考え、モニュメント的な保存しか念頭になかった。
しかし、今回の調査の結果、柱のコンクリートは十分な強度を有していることが判明し、正式な耐震診断を行う必要はあるが、昭和50年の大分県中部地震など数度の地震を経ているものの、柱や壁にはせん断クラックは見られなかった。このことから、扇形の特性も考慮すれば中程度の地震で直ちに崩壊するようなことは考えられず、本体の利用も十分可能であると言える。現に豊後森機関庫と同時期に建設された同じ扇形機関庫である京都の梅小路機関庫と岡山の津山機関庫は特段の耐震補強を行うことなく今も機関庫として活躍している。
活用の例としては次のようなものが考えられる。


1)三島公園にある蒸気機関車「クロちゃん」を移設、宮原線で活躍し今は門司にあるディージェル機関車「キハ07」を譲り受け、鉄道博物館として整備する。外部は公園として整備し、ミニSL機関車用のレールを設け、機関庫を発着駅とし、ミニSLマニアが利用できるようにする。そこには子供連れの家族が集まりにぎわいがよみがえる。もちろん転車台も動くようにする。
(ミニSL広場の実例は愛知県刈谷市の「フローランスガーデンさよみ」がある。)


2)大空間の屋内施設であることを活用した展示会や集会、コンサートを行う多目的イベントホール「(仮称)豊後森機関庫メッセ」として、広く町民、県民に開放する。もちろん「日本童話祭」の会場とする。 
活用方法については多くの方々を巻き込んで議論を行って決めることが必要であり、そのことにより豊後森機関庫をこれまで以上に町民から愛され、利用される施設にすることができる。

機関庫の保存・活用を議論する時、まず問題になるのが費用の点である。老朽化し痛んだ建物を保存し使えるようにするには莫大な費用がかかり無駄だとの意見が必ず出る。しかし、この意見は漠然としたもので、根拠のあるものではなかったと思う。
私たちは、今回の調査を基に概算ではあるが改修費用を算定した。


①屋上防水改修工事   2,625万円(ほぼ実際の工事費と考えて良い)
②躯体保護工事    約3,000万円
③窓枠ガラス・土間改修、電気・衛生設備その他工事   6千万円程度

 

以上、耐震改修の必要の有無は残るものの、私たちは1億2千万円程度で利用可能な建築物に改修できると試算しており、建築の専門家集団として確信を持っている。これは、新たに博物館や多目的ホールを建設する費用に比較すれば大幅に小さい数字であり、豊後森機関庫を保存・活用することは経費の面からも妥当性があると言える。

 

玖珠町には目玉となる集客施設はなく、玖珠町のシンボル的施設を創り育てていく必要がある。私たちはそれが豊後森機関庫であると考えている。そして、隣の九重町の「夢大吊り橋」、湯布院、黒川と面的で回遊可能な整備を行う必要があると考えており、今回の現地調査とこの報告書が豊後森機関庫の保存・活用につながり、さらに玖珠町全体の活性化につながることを切に願っている。

 

最後に今回の調査にボランティアで参加して頂いた建築士会玖珠支部、県玖珠土木事務所、大分県防水工事業協同組合、大分県外壁改修工事業協同組合、豊後森機関庫保存委員会、地元自治会・商工会、国鉄OBのみなさま、また調査の様子を詳細に報道をして頂いたテレビ・新聞社の方々に感謝いたします。


2009年10月  豊後森機関庫現地調査実行委員会
(作成責任者)
豊後森機関庫現地調査実行委員会 事務局長 岩田 政勝
(大分県玖珠土木事務所 総務課 建築住宅班)

 

平成21年10月18日(日曜日) 第七回機関庫まつり